読むロジョン / スローガン5

meditation まいにちメディテーション マインドフルネス メディテーション ロジョン 瞑想 Apr 12, 2022
読むロジョン / スローガン5

Slogan 5
Rest in the nature of alaya, the essence.
アラヤの本質に休む


  今回のスローガンは、「アラヤの本質に休む」です。
 思いやりの心であるボーディ・チッタに触れるための大事なスローガンです。

 仏教の心理学的な考え方の一つでは、意識は8つの階層があるされます。その8番目の意識を「アラヤ」意識(alaya consciousness)と呼びます。ここは散漫な思考や概念的な囚われがない、心が休むことができる「我が家」といえる場所です。今回のスローガンは、この我が家であるアラヤで心を休ませなさいというインストラクションです。

 このアラヤとはちょっと分かりずらいので、まず最初に8つの意識について説明します。最初の6つの意識とは、感覚意識と呼ばれる視覚、嗅覚、聴覚、触覚、味覚の5つの意識と、他の5つの感覚意識をコーディネートしている「心の意識」の6つをさします。よくこのブログでも「思考」という言葉がでますが、「思考」を認識しているのは、まさにこの心の意識です。

 7つ目の意識は、なにかをしようとする「意図」と言えるもので、チベット語ではニョンイ(nyön-yi)と呼ばれ、厄介な心(nuisance mind)とも言われるものです。このニョンイは前の6つの意識が機能して知覚したものに、好き、嫌いなどエネルギーを注いで、心が最初に捉えた純粋な思考を脚色してストーリーを展開させていきます。自分が勝手に「妄想ストーリー」を進めるので厄介な心と言われるのです。

 そしてその先に、アラヤ意識と呼ばれる第8番目の意識があります。アラヤ「意識」では、「あれ」と「これ」、「私」と「他の人」というように物事の区別をつける作用があります、それがつまり「自己意識」と呼ばれるのです。「私」が誰で、相手が敵か味方かなどを区別します。さらにこのアラヤ「意識」があれとこれを分ける作用するその基盤をもっとよく見てみると、区別や判別の質がなく、心が忙しく働く前の心の休憩場所があります。ここは意識そのものが健在化する前の場所である為、識別がなく、物事に対するバイアス(偏り)なく、ただそこにあります。これはアラヤ「意識」を発生させる基盤になる基本的なアラヤと呼ばれる部分です。今回のスローガンは、この偏りも識別もないニュートラルで、「私」や「あなたが」がまだいない心の休憩場所である、基本的なアラヤで心を休ませると言うことです。

 アラヤは、古典的なテキストの中では、自然な良さ、基本的な善良さ(Basic Goodness) として表現されています。そこには個人的な健全さだけでなく、他者への思いやりや優しさともあると言われます。

 スローガン3 の「生まれていない意識の本質を吟味する」では、自分の心を見つめ、自分の知覚がどこから来ているのか探りますが、5つ目のこのスローガンである「アラヤの本質に休む」では、知覚や散漫な思考にとらわれることなく、最もリラックスする自分の家に戻ってきます。

 アラヤで休むと言うことはまた、自分の心を安心して置くことができる居場所である「自分自身」を信頼していることとも言えます。こうした信頼感は、外の世界を闇雲に探し回って、哲学的思索をしたり、自己を啓発しても見つかりません。なぜなら、この安心できる我が家は、自分の外側にあるものではなく、論的思考によって見つかるのものでもなく、単純に自分と共にいることができて初めて体験できる場所だからです。心の我が家を見つけるには、メディテーションを通して、自分と友達になる以外はありません。シンプルにマインドフルネス・メディテーションすればいいのです。

 マインドフルネス・メディテーションで、呼吸に意識をおいて、呼吸と心と身体をまとめていくことで、自分の家である身体の場所の確認と、その家の中で休んでリラックスして、頭の中のお喋りに捕まっていない状態を感じることができます。マインドフルネス・メディテーションを毎日繰り返す一つの理由は、自分のいる場所、自分自身が全く安心に足るものだという自分への信頼感を高めるためと言えるかもしれません。こうしたことの繰り返しの先に、外から何かを得るために、いつも自分から逃げ出す必要はないということが自然にわかるようになります。

 そして、マインドフルネスの実践を進めるていくと、自分の家に置き忘れていた自分への優しさや思いやりを再発見し、その優しさや思いやりを持って外に出かけることができるようになります。自分の家の中だけではなくて、外にいる周りの人や世界中の人に思いやりを届けることができるようにっていくのです。

 そうした思いやりの第一歩は、まず家に帰ってただリラックスすればいいのです!
それが、このスローガンの指示なのです。