呼吸で手放す
Apr 22, 2025
瞑想をしていると、つい何か特別な状態を作り出そうとしてしまったり、自分が感じていることや考えにとらわれてしまったりします。しかし、私が実践している基本の瞑想であるシャマタ・ヴィパシャナ瞑想で重要なのは、そうした操作を「手放す」ことにあります。
私の先生であるデイビッド・ニックターンは、瞑想を「水洗トイレのようなもの」とユーモラスに例えます。心がざわついてきたら、吐く息とともにそれを流してしまうというシンプルな方法です。
吐く息を使って手放すこと
吐く息に注意を向けるというシンプルな方法は、シャマタ・ヴィパシャナ瞑想において非常に重要です。チョギャム・トゥルンパ・リンポチェは、このように述べています:
『吐く息を吐くとき、一定の強さと緊張を持ってそれを行います。あなたは自分の呼吸に目を向けますが、没入を達成する手段としてそれを使うのではありません。吐く息は『手放す』という考えにつながっています。息を吐くことは体操ではなく、単に手放す方法を学ぶことなのです。』(The Profound Treasury of the Ocean of Dharma Volume 1)
また、リンポチェは、同書において、このようにも述べています。
『吐く息に意識を向けることで、マインドフルネスが培われます。心が忙しく計画を立てたり注意散漫になったりするとき、マインドフルネスは危険にさらされます。なぜなら、吐く息をしながらも何かの意味を理解しようと試みてしまうからです。』(The Profound Treasury of the Ocean of Dharma Volume 1)
実際の練習方法と注意点
瞑想では、自然な呼吸を保ちながら、吐く息とともに意識を外に送り出し、その後は何もせずに「ただいる」ことを繰り返します。吐く息が運搬手段のような役割を果たし、その後の吸う息のギャップが非常に広やかで柔らかなスペースを作ります。
練習中に重要なのは、この「何もしない」状態を自然に受け入れることです。特に何もしないという状態に慣れていないと難しく感じることがありますが、短時間でも繰り返し取り組むことで徐々に慣れていきます。
また、座っている際に足の痺れや身体的な違和感があったときは、それを無理に我慢せず、自分自身に優しく接することが基本です。瞑想中の姿勢や身体感覚について、無理をしない範囲で行うことが大切です。
掴むことと手放すことの繰り返し
シャマタ・ヴィパシャナ瞑想では、吐く息を使って掴んだ考えや感覚を手放す練習を繰り返します。リンポチェはこれを「Leap」(跳ぶ)と表現します。この小さな手放しを繰り返すことで、心は自然に柔軟になり、執着や固定観念から解放されます。
練習の本質
最も大切なのは、瞑想を特定の理想的な状態にはめ込もうとしないことです。良い状態を求めたり、ある種の感覚にとらわれたりすると、瞑想の本質である「柔らかさ」や「広がり」を失ってしまいます。呼吸に注意を向け、手放すことを毎回意識的に繰り返すことが、本来のシャマタ・ヴィパシャナ瞑想です。「柔らかさ」は瞑想の大切な要素なのです。