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シンプルな規律 

May 01, 2025

「規律」と聞くと、なんだか厳しく自分を縛る堅苦しいイメージがあるかもしれません。しかし、チョギャム・トゥルンパ・リンポチェは規律(シーラ)を、「生活全般から不必要な複雑さを取り除き、シンプルさを育むプロセス」だと説明しました。

普通の日常で瞑想実践をするメディテーターがまず最初に持つべき規律は、僧侶や修行者が決まった戒律を守るような厳しいものではなく、「生活をシンプルにする意識」を持つことです。具体的には、心が忙しく、散漫になったり感情的になった時、シンプルに呼吸と姿勢に戻すこと。そこには「難しい修行」というより、自分を自動的に落ち着きへと導く「シンプルさに立ち戻るルール」ようなものです。

 

シンプルさがもたらす鮮明さ

「シンプルにする」と聞くと、ただのんびりと力を抜くイメージを持つ方もいるかもしれません。でも、本来は「くっきりと覚醒した状態」がそこにあります。静かだけれど鮮やか、ぼんやりではなくはっきりしている――ちょうど、姿勢を正したときにスッと気持ちが整うような感覚です。

もし座っているときに身体が丸まってきたり、意識がぼんやりしてきたら、一度背筋を伸ばして呼吸に戻ってみてください。姿勢が整うと、心のスペースにも余白が生まれてくる感覚を思い出すことができるでしょう。

 

毎日の瞑想で養う回復力

「シンプルさに戻る」というのは、ときに難しく感じることもあります。仕事も家庭も忙しく、あれこれ頭がフル回転。そんな時期にはどうしても「今は落ち着いて座れない」と言い訳を重ねてしまいがちです。

そうした時こそ、あえて20分でも座ってみる時間をつくってみましょう。すると、徐々に自分の中に「レジリエンス(回復力)」が育っていきます。どんなに忙しいマインドになっても、「あ、また頭が騒がしいな」と気づけば、呼吸や姿勢のシンプルさに戻れるようになる。その行為こそが、「規律」を身につけることなのです。

 

連休こそシンプルに

ゴールデンウィークや少し長めのお休みなど、普段よりスケジュールが空くときこそ、あえて毎日の「シンプルさ」を大切にしてみましょう。家族や友人と楽しく過ごすのは素敵なことですが、ついイベントを詰め込みすぎてバタバタしてしまうのも、よくある話ですね。

そんな時こそ、ちょっと心に一息入れさせてあげてください。
「今は慌ただしくしていないかな?」「もっとゆったり、呼吸や姿勢の感覚に戻れる余地があるんじゃないかな?」そう思い出すだけで、今この瞬間がぐっと豊かで、はっきりしてきます。

いま、ここにある体と呼吸をただ単に感じる。
それ以上でも、それ以下でもない、シンプルな在り方に戻っていく。

これこそが、わたしたちが毎日の瞑想や日常の中で少しずつ育んでいける「規律」だと思います。
そして、これこそがマインドフルネスの実践そのものなのです。

シンプルさの中にある鮮明さを味わい、ゆったりとした心の余白を育てていきましょう!

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