瞑想と眠気

マインドフルネス瞑想 眠気 瞑想 Jun 25, 2022

 瞑想中に眠くなることがあります。多くの生徒の皆さんは、瞑想中に寝てしまうことがダメなことだ、悪いことだと思ってしまう傾向があるようです。しかし、瞑想中の眠気は特に問題ありません。単なるエネルギーレベルの話なので気にせず放っておけばいいのです。瞑想をしていて眠くなってしまう原因もいくつかありますので、今回はこの辺を少し細かく紹介してみようと思います。瞑想で寝てしまうと悩んでいる方のヒントになればと思います。

①睡眠不足や過労が原因の場合。
 睡眠不足は当然ですが座った途端に寝ます。この場合は、瞑想などせずにまず寝ましょう!。瞑想は「自分と友達になる」練習です。エゴの阻害要因を排除して、自分を大切に扱うことができるように心をトレーニングです。睡眠不足や過労の体を無理やり座らせることは、自分と友達になることからかけ離れています。まずは体をケアして大切に扱うことにが優先にしましょう。

②頭が忙しすぎる場合。
 過労や消耗していなくても、毎日がバタバタと忙しく、スピーディに過ごしいる人が瞑想を始めると、眠気に誘われることがあります。この時、体は静止させられているにも関わらず、頭の中、心の動きは依然としてスピーディに動き回っている状態です。頭が忙しいので、その思考や感情の目まぐるしい動きに気を取られ過ぎます。これが眠気の原因になります。この場合は、最初うつらうつらと眠ってしまっても、目が覚めたらしっかり意識を呼吸に戻すことを繰り返すと、徐々の眠気が去っていきます。

③姿勢や呼吸を「考えて」いる時
 瞑想は姿勢や呼吸を「感じる」ことが重要です。しかし、瞑想を始めて間もない頃はこれが簡単ではありません。呼吸を意識するあまり自分が呼吸を実況中継していたり、姿勢を意識する時、体のイメージを強く作ってしまっている時があります。これらはサイコソマティックボディ(psychosomatic body)と呼ばれる心がイメージした体と呼吸にすぎず、実際の体や呼吸を感じていません。イメージに意識が向いてますので、意識が体から離れ、眠りに落ちます。こうした時は、しっかりとリアルな体を直接感じるように練習を続けていくことで、徐々のこの感覚は薄れます。心の体から、リアルな体のセンスに戻すことが肝要です。

④視覚に捉われすぎている時。 
 瞑想している時に、視覚に意識を向けすぎると、だんだん視覚が鈍くなり、視界が灰色になり、眠りに落ちてしまう事もあります。そういう場合は、視界を広く大きく保つように心がけると眠気が切れていきます。また、視覚に限らず五感全てにおいて、こうしたことがおきます。特定の知覚に意識を寄せすぎず、全体を意識することが肝要です。

⑤集中的な練習の後
 リトリートなどで集中的な瞑想の練習をして、日常に戻った直後などは、緊張感が薄く、練習がなおざりになって眠気を誘う場合もあります。ベテラン瞑想家でも寝てしまうことは珍しくありません。

 

 このように諸々理由はありますが、瞑想中の眠気に対抗するには、「姿勢」と「呼吸」との向き合いが基本です。姿勢よく座って、呼吸をするとき、特に吐く息に意識を乗せてます。吐く息が外に吐き出されると、体の前面だけではなく、体の後方の空間を感じることができます。息を吐くと空間に包まれる感覚が生じます。この空間が一面に広がっている感覚がとても重要です。

 呼吸に集中したり、何かの思いや五感の刺激に気を取られている時、この広がりは失われてしまっています。なぜ眠りに落ちてしまうのかというポイントもここにあります。体の感覚・知覚が強すぎたり、何かの思いにとらわれていると眠気に襲われます。また真面目に瞑想をしようと、物事を規則正しくやろうという意識が強すぎても同様です。思いに囚われすぎて眠くなります。そして、そうした眠気がやってきたとき、それを問題視してなんとかしようと悪戦苦闘するとさらに眠くなります。ただ単純に姿勢に戻って息を吐き出すだけでいいのです。

 瞑想中は、さまざまな原因で眠くなります。繰り返しますが、瞑想中の眠気は特段悪いものではありません。眠ってしまうことは瞑想の中で起こる自然な反応ですので、罪悪感を感じたり、瞑想ができていないと不安になることはありません。起きたら、姿勢を正し、呼吸に戻れば全く問題がないことをぜひ覚えておいてください。瞑想中の眠気は打倒すべき敵ではありません。うまく付き合うと自然にいなくなってくれますよ。