サイトリニューアルのご挨拶!

ウェルビーイング コンパッション マインドフルネス瞑想 瞑想 Jun 10, 2022

本日サイトが新しくなりました。
新サイト用のご挨拶文を書いたので、こちらのBlogでもシェアしておこうと思います。


心のスピードを落とす 

 最近では「ウエルビーイング」という言葉をよく耳にするようになりました。ウエルビーイングを直訳すれば「幸福」や「満ち足りた状態」という意味になります。私たちは皆、自分と家族、友人などが幸福であること願っています。しかし「幸福とは何か?」「満ち足りているのか?」についてあまりよく考えず、それを闇雲にそれを追い求めてしまいがちです。なぜそうしたことが起こるのかというと、心のスピードが速く、余裕を失ってしまっているからです。

 私たち誰もが、とても忙しい毎日を過ごしています。仕事、家事、趣味の活動、何かの学習やトレーニングなど、一日24時間では足らないと感じるほどかもしれません。日々の暮らしの中で、こなすべきタスクが増えれば増えるほど、私たちの活動はスピードは増していきます。そして、スピーディで機械的な毎日を過ごしていると、いつの間にか自分の周りのちょっとした事が目に入らなくなりまます。1日のスケジュールに気を取られて、通勤時の朝の空気の新鮮さを感じず、仕事の算段に気を取られてコーヒーの香りに気がつかないといった具合に、身の回りの出来事をとり漏らすようになっていきます。

 さらにこうした日常が続くと、心も同様にスピードが上がります。心が見ている感情や思考に、次から次へと飛び乗り、とても落ち着きのない心の状態になります。そして心のスピードが上がると、コーヒーの香りや空の青さに気がつかないように、心のありようを見過ごしがちになっていきます。

 また、心のスピードが速いと「何かが自分の人生に欠けている」という感覚も漠然とあり続けます。そうした欠乏感が、物質的にも精神的にも多くのものを獲得して、自分の「足らない」ものを埋め合わせ、自分を高めることが必要だと考えるようさせます。「あれがあれば私は幸せになる」、「これがあれば私が快適になる」と考え、それこそがウエルビーイングの意味である「満ち足りている」ことだと信じてしまいます。近年のテクノロジーの進歩や経済の進歩はこうしたニーズに応え続けています、より良いものやサービスさえあれば幸せだと。しかし、こうした物質主義的な傾向には、より良いものをより手早く手に入れたいという衝動をさらに強くさせ、さらに心のスピードを上げてしまいます。心のスピードが上がれば上がるほど、私たちは落ち着きと余裕を失い、イライラしたり、注意散漫になります。イライラを感じるとそれを誤魔化して無かったことにするために、さらに心のスピードを上げて、それが目に入らないようにします。ウエルビーイングなライフスタイルを探せば探すほど、心のスピードが上がり、結果として常に欠乏感とイライラが止まらない毎日になっていくのです。

 私たちの瞑想は、こうした心のスピードを落とすための唯一と言っていい特効薬として2600年の長きに渡り受け継がれ続けているものです。呼吸を使って体と心を今自分のあるべき場所に戻す訓練を積むことで、次第に心の体も落ち着いて、過剰な活動スピードを抑えていきます。スピードが落ちてくると、自分の周囲で起こっているさまざまなことに気が付き始めます。今まで気にも留めなかった、コーヒーの香りや、通勤路の木々の美しさなどに気が付き始めます。そうした「気づきの力」は、心の動きに対しても同様に働きます。自分の心の状態、感情や思考のパターンや癖にも自分で気が付き始めるのです。

 また、落ち着いた自分をよく眺めていれば、優しさ、思いやりの心があり、豊かさと幸福で満ち足りた心が元々備わっていることに気が付きます。ウエルビーイングとは、どこかから探して、獲得するものではなく、自分の中に最初から内包されているものだと、自分で気が付くことができるのです。豊かで幸せな人生は、ただ闇雲に走り続けるのではなく、一旦立ち止まり、自分のよく見ることから始める必要があります。瞑想はその立ち止まる技術と勇気を与えてくれる、人生のパートナーなのです。

 さらに瞑想を続け、洞察力を高めて周りの出来事をよく眺めていけば、世界のありようは、私たち自身によって作られていることに気が付きます。私たち一人ひとりが世界の構成要素であることが次第にわかり始めるのです。世界が落ち着きと、安定があり、幸福を感じられるものになるためには、その構成要素である私たち一人ひとが、自分達に本来備わっているウエルビーイングな感覚を取り戻さない限り、本当の意味での社会の幸福は訪れないことも見通せるようになります。世界を構成している私たちが、常にイライラして、周囲を顧みる余裕ものなく日常を送りながら、ウエルビーイングで持続可能な社会を作るろうとすることは、あらゆる毒を使ってご馳走を作るようなものです。健康で満足感がある料理を作るには、まずはその素材、構成要素の一つ一つに栄養があり、ご馳走になる適正な食材であるべきなのです。

 世界が持続可能で、本当の意味でウエルビーイングな毎日を送るためには、私たち一人ひとりが、心のスピードを落とすことから始めるしかありません。迂遠のようですが、どうやら魔法も近道もなさそうです。

 True Nature Meditationは、毎日の瞑想によって、一歩一歩確実に自分の人生のこのような毒素を減らし、ひいては世界の毒を減らす生き方を提案しています。忙し日々の中で心の余裕のなさや閉塞感を感じていていたら、ぜひ瞑想を試してみてください。自分の足もとにある何か大切なものを見つけることができると思います。