読むロジョン / スローガン22

トンレン瞑想 ロジョン May 11, 2022
読むロジョン / スローガン22

Slogan 22
If you can practice even when distracted, you are well trained.
注意散漫でも練習できれば、よく訓練されている。


 今回のスローガンは、突然の動揺が起こって、心が落ち着かず、思考が彷徨っていても練習がきちんとできることを示唆するスローガンです。普段クラスでも紹介しているように、マインドフルネスの練習の一つの要点は、心が散漫になっている時に、『はっ!』とそれに気がついて、呼吸をしている身体に意識を『戻す』事がポイントです。

 マインドフルネスの本を読むと、『今にいる』とか『今ここ』といった言葉が書いてあるため、「今」にずっと留まり続ける事がマインドフルネスあることだと考えてしまいがちですが、それはマインドフルネスの大きな誤解の一つです。

 マインドフルネスの大事なポイントは、自分がマインドフルネスでなくなった、その散漫さや、何かに気を取られた事がリマインダーとなって、元の呼吸なり身体の感覚に自動的に戻る事ができるようになる事です。

 マインドフルネスへの自動的な復元力が磨かれば、人生の中で、辛いことがあっても、それらがある種のリマインダーとなって、シンンジャン(ある種のマインドフルネスの完成形)や、トンレンの感覚や、ボーディチッタを思い出す手助けになります。突然降りかかる人生の困難に直面しても、現実を見失わずに、不安や恐怖を心のトレーニングに取り入れる事ができるようになるのです。

 瞑想の練習が安定していれば、日常で何か突然の衝撃が起こった場合、それがきっかけてマインドフルでアウェアネスな状態に戻るので、特段大きな努力を払う必要がなくなります。その出来事を理解したり、何かに投影したり、ずっと見張り続ける必要がなくなります。このような復元力こそが、毎日の練習の積み重ねの証になるのです。

 この力によって、人生の極度の落ち込みや、極度の興奮に悩まされてることもなくなります。とても安定して地に足がついた人生に変わっていきます。

 今回のスローガンまでが、ロジョンのポイント5、「マインドトーレニングの評価」は終わりです。このポイント5のスローガン群は、私たちの混乱した心であるクレイシャの牙に自分を傷つけさせないことを目的としています。

 まず、スローガン19で言われるように、ダルマのポイントは自分のエゴを手懐けることだと認識し、スローガン20で他人の意見に頼らず、自分自分の判断に頼ることを実践していきます。そうすると重苦しい規律にとらわれず、明るさや軽やかさを感じ、スローガン21の喜びを心を保持できるようになります。そしてポイント5の締めくくりは、このスローガン22、気が散っていても練習ができるようになっていくのです。