ゼリーのように座る
May 31, 2025
「きちんとやらなきゃ」という緊張感
瞑想を始めると、誰もが一度は「きちんとやらなければ」と意気込み、身体や心が硬くなってしまう経験をしますよね。奥歯を噛み締めたり、呼吸が浅くなったりすることもあるでしょう。しかし、本当に大切なのはその逆、「穏やかさ(Gentleness)」という柔らかな感覚を思い出すことです。
穏やかさ(Gentleness)とは?
トゥルンパ・リンポチェは、穏やかさを瞑想の本質として次のように伝えています。
「瞑想のすべては穏やかさ(Gentleness)の表現です。鐘やタイマーの音さえも優しく響き、座布団や椅子もまた優しさそのものになります。その感覚はやがて日常生活すべてに広がります。」(引用:Mindfulness in Action )
この穏やかさは、私たちが日常生活で感じる緊張や不安、恐れを和らげる大切な要素です。身体と心がバラバラになると不安が生じますが、瞑想では呼吸を通じてその二つを整え、一体感を作り出します。その結果として、自然な穏やかさが湧いてくるのです。
瞑想で穏やかさを実践する具体的な方法
瞑想中、自分が奥歯を強く噛み締めていることに気づいたら、一度深く息を吐いて身体の緊張を緩めましょう。呼吸に意識を向ける時も、力を込めて掴むのではなく、柔らかくふわっと乗るような感覚で行います。また、思考に気づいたら、それを鳥の羽根でシャボン玉にそっと触れるような優しい態度で受け入れます。
例えば私自身も、クラスで瞑想を指導しているとき、力を抜いて「ゼリーのように柔らかく溶けていく感覚」を持つようにしています。その感覚こそが人間本来の自然な柔らかさであり、硬くなる必要はまったくないのです。
穏やかさがもたらす明晰さと視界のクリアさ
さらに重要なこととして、穏やかさは明晰さやクリアな視界を育む土台となります。私たちはたくさんの情報や基準点を持つことで明晰さを得ようとしがちですが、本当の明晰さはそれらを手放しリラックスした瞬間に、「雲ひとつない空」のように自然と現れるものです。柔らかく緩んだ心は自然なクリアさを生み出し、自分自身や人生そのものへの理解が深まります。
日常生活への穏やかさの影響
毎日の瞑想の中で穏やかさを感じる練習を続けてみましょう。座ったとき、呼吸に意識を向けるとき、そして何かに気づくとき、それらすべてに優しく柔らかく接してみてください。その継続があなたの中に本質的な穏やかさを育て、仕事や家庭などの日常生活にも良い影響を及ぼしてくれるはずです。